福島県民1人が1日に出すごみの量が、2022年度は1021グラムと、47都道府県で最も多かった。

 リサイクルの実績も全国最低レベル。未曽有の大災害を経験し、「環境先進地」を掲げ復興に取り組む福島が、なぜ――? 県民の1人として忸怩(じくじ)たる思いで取材を始めた。

 環境省が公表している「一般廃棄物処理実態調査」によると、22年度の福島県民1人1日あたりのごみ排出量は、富山県と並び47都道府県で最多だった。1キロ超えは2県だけだ。

 全国平均は880グラム。最も少ない京都府は770グラムだった。福島県はこの10年、45~47位とワースト争いの常連だ。

 ごみの総排出量に占める分別収集された資源ごみの割合を表す「リサイクル率」も福島県は12・8%にとどまり、和歌山県(12・4%)に次ぐ低さだ。全国平均は19・6%、最も高い鳥取県は28・3%だった。

集積所に出されたごみを収集する作業員。透明でない袋に入ったごみや段ボールなど「ルール違反」のごみがいくつかあった=2024年6月20日午前10時2分、福島県郡山市、斎藤徹撮影

可燃ごみ収集日の朝、大量のごみ袋の中に入っていたのは

 ごみの多さと分別の不徹底さは、郡山市で暮らす記者も日常生活で実感している。ごみ収集日の朝、マンションの集積所には、入居世帯数にそぐわない量のごみ袋があふれる。資源になる紙類が生ごみとごちゃ混ぜになっていたり、ペットボトルが混ざっていたりするものもある。

 郡山市は22年度、全国62の中核市で、市民1人1日あたりのごみ排出量が1165グラムと、3年連続ワースト1位。リサイクル率も、福島県平均を下回る9・3%だった。

写真・図版
東北6県のごみのリサイクル率

 6月のある朝、郡山市内のごみ集積所で、市の委託を受けた清掃作業員が、大量のごみ袋を手際よく回収していた。この日は「燃やしてよいごみ」の収集日だが、資源になる段ボールやルール違反の中身が見えない黒い袋もあった。

 ごみ収集歴20年の鈴木進一さん(42)は「人口が減っているので、ごみの量は昔と比べて減ってきてはいる。でも、ごみ出しのマナーは非常に悪いですね」と話す。

 郡山女子大付属高校でごみ減量活動に取り組む生徒は「全国ワースト1位は悲しいし、かっこ悪い」。

 なぜ、福島県民が出すごみは多いのだろう。取材を進めると、いくつかの要因が見えてきた。

 福島県のごみ排出量が急激に…

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